カーブトレーサ特性で、Ipが2重に見えるデータを時々みかける。昔から、この原因は?だった。その解答が昔のRCA資料にあった。原因=カソードの温度が、Ipにより変化するためとのこと。…原因は熱か。…この現象、昔の球によく見かけるので電極振動かと思ってた。
カソードの熱電子は、その字のごとく、カソードの高温の熱エネルギーを元にカソードから飛び出す。カソードから熱電子が飛び立つとき、いくらかの熱を奪うことになる。結果、速やかにカソードに熱エネルギが供給されなければカソードの温度は低下する。ところが、熱伝導は、時間的に遅く急激な温度変化(低下したカソード温度を元の温度に戻す温度変化)は実現できない。この熱伝導の遅さがIp2変動となって、グラフのように2重に見えることになる。
ということは振幅の大きい信号が加わると出力が歪むということですよね。何かうまく測定できる方法は無いでしょうか。
もちろん、すべての球がそうなるものでもないでしょう。測定としては、@カソード温度変化について、Ip変化量が示されているので、カソード電圧を正規より低めに設定してどの程度Ipが下がるか測定する。AカーブトレーサのVIスイープ速度から、@の基礎データをもとにどの程度Ipが下がるか推定する。…推定値と実測値が一致すればOk…てな感じでしょうか。
実際、WEやBendix社は?です。本資料の出所は、■Rca1962ElectronTubeDesign で、説明はニュービスタ管です。ここで説明されてる章の表題は、”設計値と測定値の違い”で、こういう現実があるよとだけ記述されてます。今となっては実測するしかなさそうです。実際のところカーブトレーサ(昔はテクトロ製とか)で測定する場合、スイープの速度設定がどの程度のもかも知る必要がありそうです。