折りたたむ
30センチが1ナノ秒ですが、導体では屈折率の影響で7〜8割の速度になり
ますので、20センチで1ナノ秒と見ておくと良いでしょう。仮に20メート
ルの配線があれば100ナノ秒=0.1マイクロ秒の時間遅れが生じます。
この配線を介してNFBをかけるとすれば、系の帯域幅は1メガあるいは
更に狭くする必要があります。(帰還量に依存します。)
ただしよく勘違いされることですが、トランス巻線が例えば100メートル
あった場合に、この長さの導線と同じ時間遅れがあるはずというのは間違い
です。トランスの巻線はコアによって密に磁気結合していますので、片方の
巻線端の電流変化は瞬時に他方の巻線端まで起電力を発生させます。そのた
め伝達の遅れはごくわずかです。(巻線の直径程度の遅れはあるはずです。)
トランスの位相特性は、漏洩インダクタンスと浮遊容量によって決まると
考えるのが妥当でしょう。でもトランスはアンプ部品のなかでも最も複雑
怪奇なもので、知ったか振りで恥をかくのが落ちでしょうから、これ以上
触れるのはやめておきます。