第212回 関東三土会(2019年07月20日)

総括


昨年は猛暑でしたが、今年は気温が低く雨の多い日が続いています。しかし天候不順にもめげず多数の方に参加していただきました。今回は、新しい技術を利用した作品の発表に多くの質問が出ていました。

出品作品

サラウンドデコーダ 小高 さん
前に発表したデコーダは、クロストークキャンセルにより低域のレベルが上ったように聞こえる問題がありましたがそれを改善しています。メーカー製のデコーダは、低域のセパレーションが効きにくいために効果も弱めにしており問題が顕在化しませんが、小高さんのデコーダは全域で良好なセパレーションを得るようにしているため対策が必要だったということです。
視聴に用いた音源は、4Chを2Chにエンコードしたものを使用しています。これをデコーダで4Ch再生すると ちゃんと分離して聞こえています。この方法では2Ch音源として扱うことができるため、4Chに音源を使用する場合よりも取扱が容易になるという利点があります。
出品者のコメント:
QS/SQデコーダのフラグシップ機の修正版と
市販QS/SQデコーダの最新機種を紹介しました。

関連情報です。
 http://www.hi-ho.ne.jp/odaka/quad/sando22.html

ポータブルオーディオのアンプだけ 前田 さん
6月のお寺大会に出品したものを組み立て直したものです。イコライザアンプ付きの小型アンプに、157円のMP3再生基板(アンプの上に乗っているように見える基板です)を組み込んで再生できるようにしています。安価に組み立てたアンプとは思えないくっきりした音が出ていました。
出品者のコメント:
 バリバリのクラシックファンの抜作三太郎こと前田@厚木です。
 
 お寺大会で『枯れ木も山の賑い』の積もりで発表したのですが、バラック気味だったので少しまとめてみました。
 元々はお出かけ用のパワーアンプ付きイコライザアンプだったのですが、それに中華MP3デコーダー(\159)を付けてあります。残念ながら"wav"ファイルは再生できません。

真空管内蔵ポータブルオーディオ お寺大会出品のもの 高間 さん
DENONのミニコンポ用のスピーカを使い、ツィータの駆動用アンプは12BH7シングルにした2wayのシステムです。バイク用のバッテリーを使用し、全体の重さは10kg以下になっているようです。
今回はリモコンを忘れて音量調整ができないということで、中央付近のボリューム位置で再生しましたが、十分に聞こえる音量になっていました。
タブレットなどを音源にすることもできますので、この場合はタブレットの方で音量調整ができます。
スピーカーのクロス周波数はプラグイン式のアダプタで切り替えできるようにしていますが、発表では4kHzにしていました。
マルチシステムになっているせいか、まとまりの良い聴きやすい音に仕上がっていました。

資料はこちら
出品者のコメント:
3Dプリンタで作成したエンクロージャ 植木 さん
ユニットは10cmは100Hz以下、と8cmはフルレンジで再生しています。アンプは中華製のデジタルアンプです。
少し高音が強めですが、くっきりした音に仕上がっています。音を全面に押し出すようなユニットの特性のようで、ジャズ、クラシックの楽器の演奏が迫ってくるような再生音になっています。また、人の声も前に出てくる感じがいいです。
ユニットの素性はいいようなので、特性を測って調整してみたらどうかという意見が出ていました。
出品者のコメント:
2wayマルチアンプ&スピーカ 石田 さん
Hilo@町田さん設計のDSPボードをチャンデバに使った2wayシステムです。DSPなので、いろいろいじることができて、低音側、高音側にパラメトリックイコライザを入れてバランスを取っているそうです。
マルチチャンネルの良さが出ており、くっきりしていて音が前に出てきて低音から高音までバランスよく再生できていました。
このボードの完成品は2万円弱くらいで入手できるということなので、興味のある人は試してみる価値がありそうです。

資料はこちら
出品者のコメント:
14cmスピーカ 土屋 さん
先月よりも大きめの箱に収めています。特性を測定してみた結果、ウーハーとツィータの干渉により聴く角度によってはクロス周波数付近に深いディップができることが分かったということです。
ウーハーの振動板はドライカーボンで、分割振動領域を高域側まで持ち上げているつもりだということです。また、ユニットを取り付けているアダプタは張り合わせた合板を削り出しているとのことです。
伸びがあり、バランスの良い素直な音です。会場からは会のスピーカにしたらという意見が出ていましたが、能率が低いので小出力アンプには難しいだろうということでした。
出品者のコメント:
ウーハーとツィータが遠く離れているため、クロス周波数付近の音の干渉で上下±10deg位のところにディップが発生しています、ギリギリまで近づけると±20deg位まで拡大できそうですが、小さな部屋で聞くのであれば理想は同軸2WAY かなと思います。

ウーファーのピストン振動領域と呼べそうな周波数は3.5kHz位までの様です、スピーカー分科会の掲示版に測定データを乗せておくのでご覧ください。分割振動は突然現れるのではなく、周波数が高くなると徐々にその症状が出てきます、本機の場合振動のピークは8kHzにあります。参考までに普通の紙振動板の分割振動ピークは14pサイズで1kHz位にあると思いますが、強力にダンプされているので周波数特性上で見つけるのは難しいです。

今回はツイーターに木製の自作waveguideを付けてみましたが明確な変化は確認できませんでした、壁などからの反射が影響し測定精度が上がらないためだと思います。フリンジエフェクトや指向性の平坦性改善に効果があるはずなのでもう少し評価方法を考えてみたいと思います。

I氏式LogATT  前田 さん
2台目の制作ですが中華製のLCDを使ってみたとのことです。値段は187円ですが、ピン配置が少し違うので修正が必要だということです。
1台のリモコンで、2台を別々に音量調整したり、ミュートは同時に効くようにしたり、便利に使えるようにしていました。
出品者のコメント:
 
 バリバリのクラシックファンの抜作三太郎こと前田@厚木です。
 
 岩野さんのLogATTの2作目です。
 2個の抵抗をパラにすることで、20 kΩ負荷の時減衰誤差が小さくなるように抵抗値を決めました(直列と違って結構大変)。
 中華LCDは、(1) ピン配置が違う、(2) サイズが少し大きい、という問題はありますが、一応使えます。手間と数百円のどちらを取るか、ですが....。

マイク数種 前田 さん
WM-61Aのマイクアンプに使う差動用FETは、2SK2145だとゲインが高すぎることが多いので、2SK879を使うようにしているとのことです。特に、ジャズの録音ではクリップしてしまうので、アンプのゲインを落とす対策が必要だとのことです。
その他に長さ2mのマイク、バイオリンの近接ピックアップ用のマイクの説明をしていただきました。
出品者のコメント:
 
 バリバリの...略
 
 蝦名さんがキャノンコネクタに収まるマイクアンプの基板を作って下さったので、いろんなマイクを作ってみたくなりました。感謝感謝です。
 ヴァイオリンの音を録るためのマイクは「あごあて」にクリップで止められるようにしたもので、そこそこ綺麗に音が録れるていと思います。
 もう一つは、ステージの演奏者前に置いても目立たないマイクを目指して細いパイプにマイクを付けたものを作ってきましたが、高い位置での録音用はこれが限度かな、と思います。
 次回はこれで録音したものをお聞かせしたいと思います。

録音 三種 前田 さん
ジャズバンドの録音では、ワンポイント録音だとピアノの音が小さめになっていました。会場からはマルチマイクに挑戦したらという意見が出ていました。
チェンバロ、バイオリンの録音は前田さんが慣れているためか、バランスのとれた自然な録音がになっており、素晴らしい再生音になっていました。録音の時の話と、バロック音楽の通奏低音の説明もしていただきました。
出品者のコメント:
 
 バ...略。
 
 毎度の録音データのご披露です。ジャズバンドと子どもの演奏会、バロックの録音を聞いていただきました。
 ジャズは難しいです。音圧が高いのと、マイクの設置場所が制限されるので楽器のバランスがうまくとれないです。 「マルチマイクでやらないと」とのご意見をいただきましたが、機器の購入からになるので逡巡します。

 バロックの通奏低音の楽譜は、右手の分も記載した楽譜(解決譜?)が売られていますが、本来は右手は即興演奏で元々の楽譜には左手分しか書いてありません。毎回演奏が違う楽しさ、というのはCDではなかなか味わえません。同じ曲を何回も生で聴く、というのもそうそうできることではありませんが。

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