第106回 関東三土会(2009年09月19日)

総括


安江さんのご厚意でアナログプレーヤが使用できました。そのためか、イコライザアンプ、プリアンプの作品が多数参加しています。また、MM型スピーカという、興味深い作品も登場しました。
司会:三上・岩井、写真:堀尾、記録:蝦名

出品作品

三上 さん
スペンドールLS3/5a
小型ながらバランスの良い音です。さすが、モニタースピーカとして使われるだけのことはあります。能率が低いにもかかわらず明瞭な音のため、アンプにとっては高出力時の音の安定性が試されるスピーカです。
出品者のコメント:
オーディオに、はまり込みますと、時にとんでもない方向に走ってしまうことがあります。特にスピーカー周りは、こわいものがあります。いい音を出そうとし て気がつかないうちに特定の音だけを聴いて音あわせをしていることがあり、しまいには自分の作った音が聴く音楽のジャンルや傾向までを変えてしまうことが あります。そのようなビョーキ状態のときには、"正気"に帰らないといけません。このスピーカーなどは”おかしくなった”ときに”正気”に戻れるように時 々聴くことにしています。固有の音の癖が少なくバランスもよく、アンプの違いをはっきり鳴きわけるところは、大したものです。しかし魅力的かというとおと なしく、さっぱりしすぎている音でクラシックには向くかと思いますが、もっと元気で躍動的であってもいいと思いますね。三土会では、あれっ三上サン、まと もなスピーカーも持ってんだ....と言われてしまいました。
木村 さん
MMスピーカ
ボイスコイルは4個で、シリ・パラ接続で4Ωとしています。マグネットは3gとのことでした。今回は、構造を見てもらうために前後逆に取り付けていまし た。大振幅時には、マグネットがぶつかってしまうなどの課題はあるものの、素直な音で、今後の発展が期待できそうでうす。
出品者のコメント:
四十畳の広い部屋で、家では出せないデカイ音が出せたので満足してます。
サスが柔らか過ぎて腹を打つのはチューニングできますからね。
石田 さん
WM8741+SDRAMバッファDAC
SDRAMは、2MBだそうです。通常のCDトランスポートであれば、1時間くらいはクロックのずれが問題にならない容量とのことです。WM8741はデ ジタルフィルターを内蔵しており、176kHzサンプリングバッファ有り無し、88kHzサンプリングバッファ有りの音を再生しました。音がかなり変わる ことが確認できました。、
出品者のコメント:
 DAC部分はまだ完全にはできていませんが、音は出るようになりました。流石に最新チップは良いです。メモリーバッファ付きDAIも効果があるようです。読み出しクロックの外部同期も試してみたいところです。
 ハイサンプルPCM出力も出せるように改造したCDPと組み合わせてSACDが楽しめそうです。
安江 さん
PCL86PP 定電圧化
ボリュームが壊れたので、その修理を行うと伴に、電源を定電圧化しています。狭い空間に部品を押し込む苦労話をして頂きました。
以前に較べると、くっきりした音に変わったかなという印象でした。13Wのパワーで低能率のスペンドールLS3/5aを十分鳴らしていました。
岩崎宏美のLPとCDを聞き較べるデモを行いましたが、どちらもいい音です。本人曰く「安定化しない方が好みの音だった!」
出品者のコメント:
 ボリュームを交換するためには、全ての部品をビール缶から外に取り出す必要がありました。
ついでにB電源を定電圧化しました、缶内の温度変化にも安定した動作をするようになりましたが音質は以前の方が躍動感があったかも知れません
見元 さん
TDA2009アンプ
電源をトランスからスィッチング電源に変更しています。電源に電解コンデンサを追加したり、出力に電解コンデンサを選択して、電解コンデンサ無しと同レベルの音にしたとのことです。
LS3/5aだと大音量で苦しいですが、端整な音に仕上がっていました。
出品者のコメント:
今まで私が製作したアンプには、小出力時はやさしくてきれいな音がする反面、大音量で崩れるという弱点がありました。検討したところ、電源を含むさまざま な箇所に問題があることが判明しました。この不具合を直したのが本機です。しかしながら、VRmax前くらいで音が崩れました。次回までに、バラック状態 の本機をまとめあげ、大音量の崩れをさらに減らすことを検討します。

松川 さん
OP467 MC対応NF型イコライザアンプ
ヘッドアンプ+NF型イコライザアンプの構成です。手早く作り上げる手際の良さには感心させられます。ヘッドアンプの利得が10倍のため、利得が不足気味でしたが、MCカートリッジを接続してちゃんと音が出ました。
やさしく、聴き疲れのしない音に仕上がっていました。
出品者のコメント:
今回は、とりあえずMC対応にしようとして、NF型のイコライザを作ってみました。
蝦名氏のH/Pから回路を起こして、例によってTina-TIでシミュレートしてみました。
基板とシャシーの大きさがぴったりで、もう取り外すのが大変。もう少し利得を大きく取って見たいと思いますが。
また、電池駆動でもHAMがでたりするのですねぇ。
(奥が深い!だから嵌っちゃうと抜けられないんだねぇ これがっ)
川尻 さん
6BR7 MC専用イコライザアンプ
ウェブスターのマイクトランスを使い、MC専用イコライザアンプにしています。利得が低めですが、パワーアンプのボリュームを上げるとちゃんと音量が出ていました。
トランスを使っているせいか、人の声が良好です。
出品者のコメント:
やはり利得が低めでしたが、能率の低いスピーカーだとハムは気にならないものですね。
年末までに改修を計画しています。
蝦名 さん
2SK68Aゼロバイアスヘッドアンプ+2SK43シングル増幅イコライザアンプ
ヘッドアンプは、トランスをケースから浮かせています。また、電源はホット・コールド両方に抵抗を入れるなどの、ノイズ対策を行っています。
一方、30年前に作った2SK43シングル増幅イコライザアンプは、ノイズ対策の改造を行いましたが全く変化がありませんでした。
音は、無帰還アンプらしい素直な音です。LPレコードで、PPM(ピーター・ポール&マリー)の「風に吹かれて」を再生しましたが、懐かしいとの声が聞こえていました。
出品者のコメント:
ヘッドアンプは、茨城オフ会で安江さんに「ゲイン不足!」と言われたため、2SK68Aを8パラにした23倍増幅に変更しました。利得を増やしたことで、今回のLS3/5aの低能率スピーカーでも十分な音量で鳴らすことができました。
ヘッドアンプのノイズレベルが非常に低いため、2SK43シングル増幅イコライザアンプのノイズが気になりました。このため、 2SK30A(ATMではない)を2SK246に変更したり、カーボン抵抗を使っているところを金属皮膜抵抗に変えるなどの改造をしてみましたが、ノイズ レベルは全く変化がありません。重要な所には低ノイズ部品を使っていたので当然なのですが、少し残念な結果でした。
関口 さん
三栄無線SRP-200改造プリアンプ
20年ほど前の製品を改造しています。コンデンサ類を交換し、フラットアンプは利得調整のために若干のPG帰還を使っています。ボリュームは4万円もする高級品です。
クリアで、押し出しのよい音でした。
出品者のコメント:
さあて、今晩から、サイドのチューニングをしてみます。

ソリッド抵抗とみられていたのは、当時の記録を見ると RMとなっています。

KOAのカーボン抵抗を用意してきました。
チューブの選別と、すすめてまいります。
前田 さん
25年前に作ったイコライザあんぷです。不調のため、音出しができませんでしたが、某有名アンプ製作者のものより音が良かったとのことです。
冬のお寺大会に向けて、新作のアンプのアイディも披露して頂きました。
出品者のコメント:
う~~む、何故音出しできなかったのが不明です。
ついでに考案中のイコライザ回路も披露させていただきましたが、不評でした。
何とかリベンジしたいところです。請うご期待。
前田 さん
町田市民ホールでの録音
録音を再生して頂きました。一部、ご自身の演奏もあったようです。
出品者のコメント:
石田 さん
録音マイクと録音の再生
録音に使用したマイクの説明と、録音を再生して頂きました。安価なコンデンサマイクでも十分に使えるようです。虫の声が綺麗に録音できていました。
出品者のコメント:
 1ペア1000円以下でできるステレオマイクです。特性もバカにはなりません。測定用もかねて一ついかがですか。
 マイクアンプもCMOSオペアンプを使うと電池2本でも割と手軽にできることが判りました。
本村 さん
ルンダ―ルLL1524入力トランス Plitron出力トランスアンプ
入力トランスを変えて、大きく音が変わったとのことです。以前よりも、柔らかな音になったように感じました。
出品者のコメント:
上野 さん
安全規格 J60065の紹介
アンプなどを作る時に必要となる規格について紹介して頂きました。自作するときはあまり気にせずに作りますが、少なくとも安全に関する規格については知っておく必要があると感じました。
出品者のコメント:
堅苦しい話だったのですが、皆さんに興味を持っていただけたようで安心しました。
安全設計の知識は、アマチュアであっても知ってて損はありません。
知らないで作るのと知っていて作るのでは大きな差がありますし、小さなお子さんがいたり電気機器の取り扱いに詳しくない人に貸したりプレゼントしたりする際には気をつける必要があると思いますから。

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