第173回 関東三土会(2015年11月21日)

総括


今回は冬のお寺大会の課題である無帰還半導体アンプが多数出品されました。久しぶりにアンプを沢山聴くことになりました。

出品作品

小高 さん
サラウンドデコーダ

今回は基板を作ったとのことです。そのせいで、ノイズが減って動作が安定したとのこと。
後方のスピーカーは小型のフルレンジですが、SQ或いはQSの音が効果的に再生できていました。レコードのマトリックス4チャンネルが流行っていた頃にこの基板と安価な部品があったら、マトリックス4チャンネルはもっと普及していたのではないかと思うほど効果が確認できました。
SQのロジック有り無しの違いを比較して頂きましたが、かなりの違いが出ていました。一方、山水のQSは逆相のみでシンプルであるが、効果が出にくいようです。
出品者のコメント:
 今回、初めてP板を起こしてみましたが、製作容易で、且つ、安定動作を図ることが出来ました。又、試聴会に於いても分離/音質が良かったとの好印象が得られました。
 これで、HIFI再生(忠実再生)が事実上不可能だったSQ4ch音源のHIFI再生
に光明が差した様に思います。

今回の資料です。
http://www.hi-ho.ne.jp/odaka/quad/sando7.html

大平 さん
A級シングルアンプ

半導体シングルのA級2Wアンプです。DCアンプ構成にしていますが、ドリフトは殆どでないとのことでした。シングルアンプのせいか、半導体アンプらしくない素直で聴きやすい音に仕上がっていました。部屋が広いので、クリップする音量で聴くことになりましたが、クリップをあまり感じません。歪が目立ちにくいことも特徴のように感じました。
出品者のコメント:
ドリフトが少なく、聞きやすい音は終段に使った横型FET、2SK1056が寄与しているようです。
今回の他流試合で小出力でもA級シングルは好音質であるというのが確認できました。
広い会場で低能率スピーカという条件の割には健闘してたようで、暖かい言葉も頂きこれからの製作にも励みになりそうです。
このアンプは帰還型なのでお寺大会出場は無理なので別のアンプを作らなければ。。。。
大塚 さん
プロジェクト基板無帰還アンプ

ヒートシンクはPentium2用のもので、ファンの電圧を6Vまで下げてファンの音が大きくならないようにしています。
ケースはいつもの奥沢O-8で、初音ミクの自作特注シールを貼り付けています。出力段はJ115/K405、フォールデッドカスコードとドライバ段にはJ313/K2013、トランジスタにはA970/C2240、温度補償にはC4495を使っています。電源は、RSコンポーネンツのトロイダルでとショットキーバリアダイオード、それに3300μFを60個使った強力な仕様です。
左右の広がりと奥行き感があり、くっきりしていてかつ音と音の間が静かです。Pearl Saxophone Quartetは、その場を再現できているような音が出ていました。

出品者のコメント:

温度補償用Trは秋月で売っていた、サンケンのC4495というものを使いました。
Hfeが大きく、TO-220パッケージのため固定が容易で、大変使いやすい石です。

出力段電圧は、RSの115Vトランスを使ったため、設計値より±3Vぐらい低めになるはずでしたが、秋月のSBDブリッジを使ったため±1.5Vぐらいの誤差ですみました。

最近の秋月は、いい物が結構ありますね。
HPで部品をよく確認すると、便利な物がけっこうあります。


なんにしても、皆様のおかげですばらしいアンプができました。

手作りアンプの会に入っていて、三土会に参加していて、本当に良かったです。

ありがとうございました。
関澤 さん
プロジェクト基板無帰還アンプ

残念ながら、基板の一部がパターン切れを起こしているために、正常に動作していませんでした。しかし、小音量であれば無帰還アンプらしい雰囲気のある音がでていました。次回のアンプ調整会でチェックし、完成を目指すとのことです。
出品者のコメント:
 ターミナル・ブロックを無理して取り付けた為に二層間の繋がりを切ってしまいグラウンドが浮いている様で、酷い音を出してしまいました。
 蝦名アンプの名誉の為に、このアンプは本調子ではありませんので、今回の音は参考になさらないで下さい。
 これから修復して、12月の三土会に再度出品させていただきます。
石田 さん
プロジェクト基板無帰還アンプ

J49/K139を出力段に使っています。電圧増幅段は整流後の電圧をそのまま使い、出力段はチョークを入れることで電圧差を設けています。放熱器は、TO3が取り付け可能なものを2個組み合わせて、ファンで強制空冷しています。
出力段の石のGmが小さいためにダンピングファクターが小さめになっています。
音は、素直で聴きやすい音に仕上がっていました。ダンピングファクターが小さいことも効いているのかもしれません。
出品者のコメント:
プロジェクトアンプとして一応音が出るようになりましたので発表しました。

 使用したJ49/K134は手持ちで残っていたので今回うまく使えるかと思いましたが、無帰還だと少しダンピングファクターが低めで歪も大きめです。

 なので最初はBTLにする予定でしたが、最終的にどのような形にまとめるか思案中です。
山田 さん
プロジェクト基板無帰還アンプ

出力段はJ554(日立)/K1122(NEC)の違う会社のMOS-FETを使っています。2SK1122は、2SJ554のコンプリとして売られている2SK2955などとほぼ同等の特性であり、問題なく使用できます。
音がくっきりしていて、前に出てきて、空間感のある音は大塚さん、石田さんのアンプと共通ですが、微妙に差がありました。電源の違いの影響ででょうか。

 
石田  さん
チビスケアンプ

加藤さんが設計した回路を岩野さんが基板化し、それを利用したアンプです。BTL回路構成で、バランス、アンバランス入力のどちらにも対応しています。BTL構成が効いていて、電源電圧が低い割に出力が10Wとれます。また、出力段がインバーテッドダーリントンになっているので、出力インピーダンスが低いです。
半導体アンプらしいくっきりした音です。しかし、オールオーバーのNFBを使用したアンプとも異なる音で、素直で聴きやすい音に仕上がっていました。
出品者のコメント:
 加藤さんのアンプを聞いた時に面白そうだったので、岩野さんの基板を分けて頂き早速試作してみました。
 一寸複雑なアンプですが、全段バランスのよさが出ているようです。今後はパワーアップタイプに改造する予定です。
岩野 さん
チビスケアンプ

同じく岩野さんが製作した基板を、岩野さん自身が作ったアンプです。
イーグルスのホテルカリフォルニアのライブ録音がいい感じで再生できていました。
石田さんのアンプに較べると、トランスの違いとケミコンの違いというこですが、少し落ち着いた音になっていました。
出品者のコメント:
加藤さん設計のオーバーオールでの負帰還無しのアンプと、テツさん設計のカレント・フィードバック式のLDO電源をまとめて1枚の基板にした、三土会よいとこ取りアンプです。
この子は、赤いチビスケで、出力は10W、この後にお寺大会用に、赤いデカスケ(20W)を作りました。
調子に乗って、40W超えのバカスケも実験段階はクリアしました。
見元 さん
WAVプレーヤー

会のCDプレーヤ+100パラアンプと、wavプレーヤ(aitendoで950円+秋月の1000円くらいの電源)との音の聴き比べをしてみました。
曲によって差の大きいもの、小さいものがありましたが、wavプレーヤの音が良好という意見が多く出ていました。
会で使っているCDプレーヤの更新を考える必要がありそうです。
出品者のコメント:
今回は、実験を繰り返し、シールドを徹底したものを持参しました。このシールド効果は、わずかですが、分解能、コントラスト、低音感、に利きます。会での評判が良くてホッとしました。
アンプ聴き比べ さん
アンプの聴き比べ(音源、ソースを揃えて)

時間に余裕があったのと同じ基板を使ったアンプが多数集まったので、会のCDプレーヤを使い、定番の曲であるオスカーピーターソントリオの「You look good to me」を再生して聴き比べをしてみました。

プロジェクト基板:石田さん 奥行き感があり、聴きやすい音
プロジェクト基板:大塚さん 音が静かで音の分離良好
プロジェクト基板:山田さん 大塚さんのアンプに似ているが、微妙に控えめ
チビスケ:岩野さん くっきりした音
チビスケ:石田さん くっきりしているが、奥行き感が控えめ
100パラアンプ: 中音重視の厚めの音

いつもだと会場から話し声が聞こえることが多いのですが、このときばかりは皆、真剣に聴いていました。
出品者のコメント:
 
連絡事項
12月5日(土)に妙法寺で御会式の反省会があります。
また、次々回の夏のお寺大会のテーマ案として、自作スピーカーユニット、ヘッドホンアンプ、DACなどが出ました。今後、意見を募集して最終的に決める予定です。

 

スナップショット