手作りアンプの会
 第二回全国大会 レポート
2006年10月20〜21日 三ケ日青年の家(浜名湖畔)

 去る2006年10月20日から23日の3日間、静岡県立三ケ日青年の家のログハウス5棟において手作りアンプの会、第二回全国大会が開かれました。
 手作りアンプの会というのは、当初は関東地方の人々を中心に約7年前に結成され、初心者からベテランまで気兼ねなく集い、自作オーディオの楽しみを伝えていこうと集まった団体です。手作りアンプの会という名称ながら現在では自作対象はアンプに限らず、音の入り口から出口までオーディオ全般にわたって広がっています。
 その後、ネット上での全国組織とした為に人数も近年大幅に増え、現在登録会員としては682名に達しています。全国の会員を北海道から九州まで各支部として区分けし、それぞれの地域別の活動もおこなわれており、個々に例会や試聴会などが開かれています。
関東支部では毎月定例会が開かれ、自慢の作品を持ち寄って発表したり、講演や初心者向けに技術相談もおこなうなどお互いの研鑚と交流を深めながらオーディオを楽しむ会となっています。
 その中で会の全体会合としての全国大会は今回で二回目となります。初回も「三ケ日青年の家」でおこなわれましたが、今回また同じ場所での開催となり31名のメンバーが集まりました。
 三ケ日青年の家は静岡県の一般向け研修センターとして設立されたもので、浜名湖のほとりという立地からマリンスポーツなども盛んで、色々な団体が訪れています。今回の大会も他の参加団体とも交流を深めながら秋晴れの3日間をオーディオ三昧で過ごす楽しい合宿となりました。
 試聴と宿泊場所ともなる会場は本格的なログハウスなので、天井も吹き抜けで高く、家壁が丸太そのままで出来ています。部屋に入ると木の響きのせいか音響的にも程よい残響で試聴室としても抜群です。各棟は1棟ずつ別棟なので他の棟を気にせず音を出せるのも良い点です。



 発表方式は各棟をテーマ別に分けそれぞれのテーマを「DAC&QRP」「半導体アンプ」「スピーカ」「真空管アンプ」「デモルーム」としました。各棟は一応独自に試聴が出来るような体制ですが、イベントの中心となる2日目は各棟、順次40分ずつのデモタイムを設け参加者が移動しながら全てのメインイベントが聞けるように配慮しました。
 最初の「DAC&QRP」の部屋では、この会ではまずお馴染みの会員の開発になるCD−ROMコントローラ+ディスクリートDACと市販のチップを使ったセットを比較試聴。今回新たに内部電子スイッチの4パラモデルも出品されました。
 もう一つのテーマであるQRPとは超小型小出力のアンプ群の名称で、無線関連で呼ばれているものですが、大型アンプなどを作り飽きたベテラン達も楽しんで作っています。今回は年末の大会テーマであるゲートICアンプや電池駆動のトランジスタや特殊管の1段アンプ、大型送信管などを数十Vの低電圧で使うアンプなどまず他では見られない面白アンプが揃いました。
 半導体アンプはこれもバラエティに溢れ380BTLのICアンプから始まり200Wのモジュールを使ったデジタルアンプ、オリジナル回路による歪打消し帰還アンプや会で共同制作した無帰還アンプの聞き比べなど多彩な顔ぶれで、参考用の30年前の市販準コンアンプも含め7台のアンプにそれぞれの個性が光った音が聞けました  スピーカも今回はユニークなシステムの集合で、ユニットからの自作も含め7セットがそろいました。


 最初はボッフルと呼ばれる後面開放の、ユニット背後を何層にもフェルトを重ねてダンプしたエンクロージャが2種類。市販ユニットの振動系を自作したものや磁気回路から完全自作のユニットなどが音出しされました。このタイプのエンクロージャは会の標準スピーカにも採用されています。比較用に市販の小型スピーカも準備しました。
 ユニークなのは本物のワイン樽のくり貫き同軸2Wayをつけたシステムで趣があると評判でした。他には市販システムの改良型、標準として市販の小型スピーカなども揃っています。また小径ユニットを片ダンボールの筒に載せたトールボーイスピーカや即席スープの食器や紙コップなどをつかった冗談システムなどこれまたユニークな作品もありました。

 真空管アンプは地元の参加もあり11台と大勢となりました。オーソドクッスな2A3直熱3極管シングルから始まり815パラシングル、6BL8KKNFから12L6GT全段差動PP、6AQ5シングル、14JW8差動PPなど多彩なアンプ群が揃い、それぞれの音を楽しみました。


 最後のデモコーナではノートパソコンによるオーディオアナライザのGP−IB制御を行い、アンプの諸特性を自動測定するシステムが出展されました。測定項目はゲイン、歪、ダンピングファクターなどの周波数特性を始め、歪率やレベルの入出力特性など多岐にわたり、それも手軽に短時間で取れるのに驚きます。まあいちいち手動でポイント測定をしていた昔のことを思うと、このようなシステムがアマチュアでも手が届くようになってきたのは感慨深いものがありますね。
 早速真空管アンプを始め希望者の装置を測定しました。お陰で自慢のアンプもデータの裏付けを取れて製作者も安心の様子でした。おまけで綺麗な特性グラフも書け、これだけでも価値がありそうです。  更に今回はこれらの試聴に加え研修室での会員による講演も行われました。
 ウェスタンの歴史を紐解き、その意義を今に問う「オーディオ恐竜時代」。現代のオーディオの隠れた問題点を掘り起こした「不思議なオーディオ信号」。スピーカとアンプの関係を問い直した「電流アンプとスピーカ」と題した3講演では参加者の熱心な聴講の後、全員での活発な議論がかわされました。
 お天気に恵まれた3日間は朝の体操と浜名湖を吹くさわやかな風に目を覚まし、夜は夜で毎晩オーディオ談義に白熱し、今回も健康的で充実した合宿となりました。今後とも各地域の例会や発表会が開かれると思いますが更なるオーディオの精進を目指して楽しんでゆきたいと思います。

ホームーページ: 
http://tezukuri-amp.org/




全国大会 写真集

管理棟  
  マリーナ広場から浜名湖方面(左)と、ログハウスから本館へ繋がる陸橋(虹の橋)
本館ロビー
三ヶ日青年の家 配置図
   
ログハウス  
  ログハウス近くの駐車場
  ログハウスと部屋割り
  ログハウスの内部
   
講演(本館2階)  
  三上さんの講演(左)と石田さんの講演(右)の様子
(西川さんの録音に関する講演は、写真がありませんでした。)
   
分野別の活動(ログハウス)  
  スピーカーの部屋の様子
 
  真空管アンプの部屋の様子
  QRP、DACの部屋の様子
  半導体アンプの部屋の様子
デモルームの様子
   
オークション  
  オークション出品の数々、ありがとうございました。
胴元は、荒木さんでした。
   
旗揚げ、旗降ろし(マリーナ広場)
 青年の家ですから、朝に旗揚げ、夕方に旗降ろしがあります。 朝は軽い運動を行い、夕方は同じく宿泊している子供たちとゲームを行いました。
  小学生の旗揚げ
   小学生のダンスと、小学生とのゲーム
  最終日は、手作りアンプの会で旗揚げ。老体をいたわりながら、朝の運動
   
食事(本館1階)  
  食事の様子
   


撮影:石田、三上、蝦名、レポート: 石田、編集: 蝦名