第225回 関東三土会(2021年10月16日)

総括


新型コロナ禍のために中止していた三土会ですが、約1年ぶりに再開することができました。部屋の人数制限はまだ継続しているため その範囲内での開催となりましたが、三土会の休止期間中に作り上げた力作が揃いました。

出品作品

12GN7 CSPP AMP 高間 さん
NFB量が多目なCSPPで、しかも発振しやすい12G7をうまく使いこなしています。流石です。
歪み率が100Hz,1kHz,10kHzで変わっておらず、トランスの性能が非常に優れているようです。NFB量が多いせいか半導体アンプに近い音になっているそうです。
スマホを音源として再生していました。人の声を得意とするアンプのようで非常に滑らかで前に出てくる音でした。スマホの音も意外といい音であることが分かりました。

資料
出品者のコメント:
CSPPはトータルの帰還量は多いかもしれませんが、出力段のみの局部帰還こそ多くかかっていますが、オーバーオールの帰還は約8dBですので、トータルとしての位相補償は非常に楽に行なえます。出力段の局部帰還が多いと言っても50%で、半導体アンプなどでは基本的にエミッターフォロワーで使うので、100%の局部帰還をかけていますので、通常の真空管アンプと半導体アンプの中間的な使用方法なのかと思います。
12GN7は大変高利得の球(6V6の9倍!)で発振や電流暴走に要注意なのですが、各端子に発振止めを設け、さらに各球毎に定電流回路を設けることで大変高い安定性を得ることができました。
スマホの音源は、スマホ内のメモリに記録したflacデータを外部のUSB DACによりアナログ化しているので、基本は外付けDACの音になります。
3Way 土屋 さん
カーボンコーンのウーハ(4.5Lの密閉)とツィータを約3KHzでクロスさせ、これに同じくカーボンコーンのサブウーハで120Hz以下を再生する構成となっています。ツィータはカーステレオ用とのことですが、特性的に最適な位置がなかなか決まらず、取り付け位置に苦労したとのことす。
カーステレオ用のアンプで再生しておりました。4cHアンプでサブウーハを使えるようになっているので、用途にぴったりです。
音が前に出てきて、バランスが良好です。サブウーハがあるので、タイタニックのネヴァー・アン・アブソルーションの超低音も再生できておりました。
出品者のコメント:
過去作ったユニットの再構築なので比較的スムースにできましたが、ツィータ周りだけは特殊な条件形状で反射回折が多く対策にかなりのカット&トライが必要でした。最低音域を38L密閉サブウーファーにしたので35Hz以下まで良好な過渡応答と低歪みな音を出せたと思います。ボイド管を使いサブウーファーを裏側に付けたので全体をコンパクト強靱な構造とする事ができました。
オーディオ専用カーステレオは、洗練されたマンマシンの元でサブウーファーシステムをスタンドアロンで実現できるので敷居が大分低くなります。
オンキョーフルレンジ10cm口径 スピーカー OM-OF101 浅川 さん
OM-0F101をバスレフの箱に入れ、ユニットは後ろ側からケブラーの糸で引っ張って固定しているフローティング構造です。しかも、ネジで張力を調整できるようになっています。箱前面の縦エッジは、1/4丸棒を使ってRを出しているとのことです。
人の声を得意とするようで、カレン・カーペンターの声が前に出てきて、かつ自然に聞こえます。また、繊細さも持ち合わせている音でした。

資料
出品者のコメント:
三土会の皆様貴重なお時間を頂きまして誠にありがとうございました。
普段は自作スピーカーを作っても外観に殊更気をつかうことはないのですが音トモ自作スピーカーコンテストに向けた作品は事情が違います。これで良いというわけではありませんが外観は思いついた事をやってみました。
さて、音の方ですが音楽ソースを誤ったのか落ち着いた大人しい感じに聴こえました。ともあれ大きめの音量で試聴できたことは良かったです。
又、本作品はネジで張力を調整できますが、強めにして聴いています。スピーカーの下にエラストマー樹脂の緩衝材をつけたインシュレーターを置いたのも良かったのか悪かったのか
よくわかりません。時間を惜しんで有りと無しを聴き比べても良かった気がします。

S-N701LR + YDG40-01 蝦名 さん
パイオニアのS-N701LRのツィータをAMT YDG40-01に入れ替えたものです。アンプはQUAD 77 powerを使いました。安価に購入したことと中国製ということでバラツキ、品質を心配したとのことでした。また、ハイルドライバーを初めて使うので、音質、指向性を心配したとのことですが、使ってみると問題なかったとのことです。
クリアで定位が良い音です。指向性も広く、ハイルドライバーの良さが出ていました。
出品者のコメント:
振動部分が蛇腹構造なので指向性が鋭いのかなと予想していたのですが、いい意味で裏切られました。面積が小さいことも手伝ってか 非常に広い範囲に音を放射できているようです。音質も大きく改善できたと思っています。
ブログに特性などを紹介しています。

http://minor-audio.sblo.jp/article/189053949.html
サラウンドエンコーダー 小高 さん
サラウンドエンコーダを基板化し、ケースに納めたとのことです。今回は紹介だけでしたが、次回はエンコードした音源で音出しするとのことです。期待したいと思います。

資料
出品者のコメント:
以下、今回の関連資料です。

http://www.hi-ho.ne.jp/odaka/quad/sando27.html

次回、乞うご期待。
バイノーラルマイク(作成中) 松川 さん
発泡スチロール製なので熱線カッターだと溶けすぎてしまい、広い部分まで溶けてしまうので、カッターナイフで加工しています。マイクの取り付け位置などについて説明して頂ました。軽いせいか、周囲の音を拾ってしまうようです。また、浮かせるだけで音が変化するため、改良の余地があり製作を継続中だとのことです。
出品者のコメント:

R2r マルチビット DAC 関澤 さん
デンマークのSoekris Audio社 dam1021 27bit R-2R DAC基板をケースに納めたものです。中途半端な音質になるのが嫌だったので、中国製の部品はなるべく使わないようにしたとのことです。関澤さんらしい丁寧な仕上げになっていました。
iceパワーのアンプを使って再生しましたが、濁りが無くクリアな音を再生できていました。27bit R-2R DACの効果でしょうか。人の声も自然でした。

資料
出品者のコメント:
・ディスクリートR2rマルチビットDACとΣ刄VングルビットDACと音質を比較すると、一定の傾向が有るように感じます。・
・コスト重視のシングルビットDAC、音質重視のマルチビットDACと、住み分けられて、好みと拘りの選択に落ち着くと思います。
FET送り出しマイク用アダプタ 前田 さん
マイクケーブルのキャパシタンスによる高域の落ち込みを防ぐためにレコーダー側に入れるカスコード接続型のアダプタです。マイク側のアンプをエミッタフォロワ型にしたものも使われていますが、音のザラつきが若干気になるとのことです。そこで、入手の容易なN-ch FETを使ったアダプタにしたとのことです。XLRコネクタ内部に収まるようにしています。その効果についても測定結果を基に説明して頂ました。

資料
出品者のコメント:
 自作マイクを、ケーブルの容量についてあまり気にせず使っていましたが、f特を測ってみると結構影響があるようです。
 実際に使っているのはせいぜいケーブル長 10 m 程度なので影響は大きくないとは思いますが、精神衛生上使った方が良さそうです。
 蝦名さんにプリン板を作って頂いたので、通常使う3セット分作製しました。
録音データ 前田 さん
事前の打ち合わせと準備がうまく行かなくて、音を再生できませんでした。これは次回に期待したいと思います。
代わりに、録音の時のマイクの位置選びの苦労話とか、音楽編集の時の苦労話を聞かせて頂ました。
出品者のコメント:
 準備不足ですみませんでした。
 が、一寸場所が変わるだけで音が変化するのをステージ上で体験して驚いています。
 次回の三土会には、マイク位置の違いを聞いて頂けるようにしたいと思います。

スナップショット


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